Milano Report
ひと雨ごとに秋が深まるミラノ。その合間には雲ひとつない真っ青な秋晴れが続き、オープンエアでは、お茶やお酒、食事を楽しむひとたちで賑わいます。食欲も旺盛になるこの季節、とっておきの美味しい店や、アワードのノミネートが決まるデザインイベント情報などをお届けします。
中心街のオアシス、とっておきのルーフトップ「イゾラ」
真っ青な秋の空。ミラノの中心街でも雲ひとつない爽やかな空の下で秋を満喫できる、「イゾラ」。アイランド、という意味を持つ名前の通り、ここは南イタリアの島々からインスピレーションを得た店。ドゥオモから歩いてすぐのコルドゥージオ広場に昨年オープンした5つ星ホテル「パラッツォ・コルドゥージオ」のルーフトップだ。
食事を提供する「イゾラ・レストラン」と「イゾラ・バー」にメニューは分かれており、オープンエアでも屋内でも楽しめる。レストランは、イタリアの定番料理とイタリアの主要ワイン産地から選び抜かれた幅広いラインナップのワインを提供するカジュアルな食体験をお届け。厳選された最高の食材と伝統的なレシピにより、カプリ島、シチリア島、サルデーニャ島の食文化で人気の料理を現代的なデザインで引き立て、南イタリアの島々の真髄を味わうことができる。
一見シンプルでおなじみの料理に見えて味わいは豊か、というのが、シェフの美食哲学だそうだ。一方、「イゾラ・バー」は、本格的な地中海風の高級カクテルバー。南イタリア産の食材を使用し、クラシックカクテルをモダンにアレンジした地中海風カクテルを提供している。
リキュールのセレクションは、エトナのリキュールなどのイタリア産にこだわり、こちらも多彩なラインナップ。ルイ13世コニャックや、最高級のスコッチ・ブレンデッド・ウイスキーとされるジョニーウォーカー・ブルーといった、高級品も揃えている。今年はワインの葡萄の収穫が早く、10月6日から1週間開催されたワインウィークでは、トスカーナのワイン「リカーゾリ1141(Ricasoli1141)」が振舞われたそうだ。
上品で爽やかな香りを放つホームフレグランスは、イタリア・トリノ発祥のラグジュアリーフレグランス、「XERJOFF」。オーナー、セルジョ氏の幼少期のニックネーム“Joff”と、同僚からのあだ名“Sir” を掛け合わせ「サージョフ」と発音するらしい。短いミラノの秋を満喫できる最高のロケーションだ。

Isola Terrace &Isola Bar
住所:Piazza Cordusio 2, Milano
営業時間: レストラン12:00-14:30, 19:00-23:00 / バー 11:00-23:00 (無休)
Email: reservations.milan@isolarestaurant.com
絶品の肉郷土料理はブレーシャへ!
ミラノから東へ80キロほど離れたところにブレーシャという都市がある。さらにその郊外のボッティチーノという街に、いつ行っても満席の「トラットリア・カーヴェ」郷土料理の店は、はまさに知る人ぞ知るお勧めの店。
毎日、新鮮な素材を使い丁寧に手作りされていて、ランチタイムのみの営業。店の前のオリーブの木には、孔雀のように美しいオウムのアルトゥーロくんがお出迎え。人懐っこく、腕を出すと乗ってきてキスをしてくれるお店の人気者だ。
ブレーシャは肉料理がメインで、何を食べても美味しいが、特筆したいのが、ミラノではなかなかお目にかかれない馬肉のタリアータ。全く臭みがなくて柔らかく、半生の馬肉なのにペロッと平らげられる絶品だ。オリーブオイルとレモンが敷かれマリネ風なことも、口当たりをさっぱりさせ飽きがこない。
煮込み料理では、 ロバや山羊など、じっくり煮込まれた肉が口の中でとろけ、添えられた自家製ポレンタと一緒に食すと、これもあっという間に完食してしまう。もちろん、プリモも、どれも美味しく、お気に入りはカゾンチェッリ。ブレーシャやお隣のベルガモのラヴィオリをカゾンチェッリと呼び、カーヴェでは猪肉やカボチャ、アスパラ、そしてこの時期はポルチーニもあり、好みで盛り合わせ自由。
三人で一皿を注文しても、いつも四人前ぐらい大盛りで出してくれるのは、オーナーシェフのナタリーナ・カザーリさん(写真左上)。ご主人のお母様(写真左下)の後を継いで厨房を仕切っている。いつも明るく出迎えてくれ、サービス旺盛。ドバイ在住の友人がお土産を渡したら「大統領の甥が射撃場に来た帰りに寄ってくれたのよ」と写真を見せてくれビックリ!
ワインも大きなボトルをドンとテーブルに。食後、会計をした後には、イタリア北部のアマレットリキュール、「ディサロンノ」をご主人が持ってきてくれた。ほんのり甘く口直しに最高の味わい。このあとオレンジも出てきたが流石にお腹いっぱいだった。ミラノからは車だと1時間半。電車の場合は、ブレーシャまで電車、そこからはバスを乗り継ぎ1時間半〜2時間。ミラノではなかなかこの値段で味わえない肉の郷土料理、たらふく食べてワインを飲んでもひとり30ユーロほどなので大いに価値ありだ。

Trattoria Cave
Via del Marmo,3, Brescia
Tel: 030 269 1234
営業時間: 11:30- 15:00 (土日は事前に要確認)
イタリアデザインの最高峰、ADIアワード2026のノミネート作品発表!
イタリア・コンテンポラリーデザインの最高峰を一堂に会しているのがADIデザインミュージアムだ。
ホームデザインから照明、ソーシャルプロジェクト、コミュニケーションに至るまで、ADIデザイン・インデックスと呼ばれる今年のノミネート作品が発表された。
10月15日にADIデザインミュージアムで開催されたADIデザイン・インデックス2025年版は、インダストリアルデザイン協会(ADI)のリサーチとプロモーション活動の新たな1ページを示す。ロンバルディア州とミラノ市の代表も参加するほど行政挙げてのアワードだ。
デザインのカテゴリーはますます細分化されているが、ADI デザイン・インデックスは各分野において固定観念にとらわれず、現代イタリアンデザインの正確で多元的な視点で審査されていて定評がある。委員会には日本人の蓮池槇郎氏も。
イタリアに60年以上在住の世界のトップデザイナーの一人で、バッグブランド「MH WAY」の創設者としても名高い。2025年の「インデックス」は、イタリアンデザインの豊かさと多様性を反映する344のプロジェクトを集め分厚い本となって出版された。私たちの日常生活を形成し続けている最新のデザイン集で面白い。
参加資格はイタリアのブランドおよびデザイナー(もしくはイタリア在住デザイナー)に限定され、イタリアの名だたるブランドやデザイナーの作品が多く並ぶ中、新進気鋭のデザイナー作品の前で記念撮影をするシーンも。そして日本からは、イタリアの老舗家具ブランド、ポッロよりニューヨーク在住デザイナー、田村奈穂氏のベンチ&コンソール「Origata」や、カラフルで独創的な家具やラグで知られるパオラ・レンティからnendo デザインによる桜の花びらが風に舞うようなアウトドア家具「Hana-arashi 花嵐」、アレッシから日本のデザインスタジオ、MEDUMデザインによるポータブルにもなるデスクランプ「TSUMIKI」なども選出されていた。
イタリアの照明で近年大人気のダヴィデ・グロッピからは「RIBBON(リボン)」という名前の作品も選出されていた。私たちが暮らす社会を、技術や素材、機能性だけでなく、より心地良い生活を提案するADIのリサーチセンターは、イタリア経団連、イタリア文化擁護団体、ミラノサローネを運営するイタリア家具工業連盟や、メード・イン・イタリーの競争力促進を目的とするシンボラ財団と共同で開発された、デザインシステムの研究と分析に特化した新しい組織だ。
その目的は、デザインを生産的な力としてだけでなく、文化的・社会的現象としても探求すること。まさに「イタリアにおけるデザインは人の生き方だ」という巨匠エットーレ・ソットサスの名言に尽きるだろう。
ADIデザイン・インデックス2025のエキシビションは、2025年10月16日から30日まで一般公開され、2026年6月には、この中から選ばれた作品にイタリアデザイン界で最も権威のあるデザイン賞、コンパッソ・ドーロADI 2026が与えられる。

ADI Design Index | ADI Design Museum
住所:Piazza Compasso d’Oro 1, 20154 Milano
営業時間:10:30 – 20:00 (定休日:金曜日)
Email: info@adi-design.org
必見!有名ブランドのヴィンテージが並ぶ青空市場
「屋根裏部屋のアンナマリア」、そんな愛らしい名前のヴィンテージマーケットを発見。場所はブレラ美術館前の広場で、手工芸品、収集用切手、デザインもの、書籍、テーブルウェア、革細工、宝飾品、絵画などなど、20前後の露店が毎週火曜日、朝8時から19時まで並ぶ。
2014年から継続しているらしく、お洒落なブレラ通りとあって、セレクションも悪くない。そんな中で目に留まったのがアンナマリアさんの露店。ロロピアーナのカシミヤコート、マーク・ジェイコブズのシックなウールジャケット、マックスマーラのカシミヤ入りウールコート、ウィークエンド・マックスマーラのバックスキンスカートなど、状態もさほど悪くなく、親切なアンナマリアさんの接客につい乗せられ、次々、試着していたら、すっかりご本人の写真を撮り忘れてしまったくらいフレンドリー。
その他にもグッチ、アルマーニ、モスキーノ、プラダ、バーバリー、フェンディ、ヴァレンティノ・・・昔ながらの品質と洗練さを誇る有名ブランドの、あらゆる種類のヴィンテージアイテムが揃う。小物も充実しており、ミッソーニなどのスカーフ類、70年代のヴィンテージバッグなども見逃せない。
メルカティーニ&クリオジタ(Mercatini & Curiosità)社の協力と推進により開発されたこの取り組みでは、有名ブランドに限らず、ニッチなテーマを掲げる業者を厳選し、その情熱を伝え、お客さんと共有する機会を提供してくれている。場所柄、少しお値段は高めだが、交渉の余地あり。月に二回、土曜日にサンテウストルジョ広場でも開催。そちらの詳細はメルカティーニ&クリオジタのサイトにて。

La Soffitta di Annamaria
BRERA antique market
メルカティーニ&クリオジタ
住所:Via Brera, Milano (ブレラ美術館/Pinacoteca di Brera前)
営業時間:毎週火曜日8:00-19:00
Email: lasoffittadiannarella@gmail.com