London Report
8月に入り日中の平均気温が23度程と心地のよい気温が続く中、昼夜オリンピックに夢中の今日この頃。柔道混合団体決勝戦のデジタルルーレットに、疑問を持ったのは私だけでしょうか・・・涙。余談ですが、フランス人は「イギリス人は座ったままできる競技がうまい」と皮肉なことを言っているのだとかいないのだとか。実際に馬術、自転車、ローイングが強いので間違ってはいないようですね。さてさて、今回もロンドンからの最新情報をお知らせいたします。
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世界で最も長い歴史を誇る美術品オークションハウス Christie’s London で、現代最も影響力のあるデザイナーの一人として世界的にも定評がある、ヴィヴィアン・ウェストウッド(2022年没)の「パーソナル・コレクション」プレビュー会が6月14日から行われ、10日間の開催期間に2万人もの人々が訪れた。展示会には、彼女の夫でありブランドのクリエイティブ・ディレクターのアンドレアス・クロンターラーが、ヴィヴィアンのパーソナルアイテムから選りすぐった、服、ジュエリー、アクセサリーなど200点あまりが展示され、初期のA/W 1983/84から近年まで彼女が携わった作品などに加え、「The Big Picture - Vivienne's Playing Cards」と題されたリミテッドエディションのプリントなども展示された。ライブとオンラインで行われたオークションでは、長年彼女が綻びを繕ってまで愛用し続けたS/S 2011の「シンデレラドレス」が想定額をはるかに上回る価格で競り落とされるなど、総額1億5千万円以上を売り上げ、その全ては、世界を救うため長年アクティビストとして活動し、自身が設立したThe Vivienne Foundationをはじめ、Amnesty International、Medecins Sans FrontieresやGreenpeaceにドネーションされる。
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Banconeはコベントガーデンにあるモダンなイタリアンレストラン。ミシュランのビブグルマンにも選ばれたこのお店では、シンプルで本格的なイタリアンにフォーカスし、フレッシュな食材を使って旨味を引き出した料理がリーズナブルに味わえる。インテリアはモノトーンカラーで統一され、洗練されたモダンな空間。印象的なダイニングカウンター越しからは、オープンキッチンから聞こえてくる音と匂いに食欲をそそられる。ここでのメニューは本格的な手作りパスタが中心で、中でもお店の看板料理「シルクのハンカチーフパスタ」は、ウォールナッツバターと卵の黄身のコンフィがトッピングされた一品で、とろりとした黄身が滑らかなパスタと胡桃バターに絡み絶妙なバランス。この他にも、ケールとチリのリガトーニやボルロッティ豆のラビオリ、鴨のラグーのパッパルデッレなど8種。前菜には、鱈子ホイップとパスタフリッタ、フライド・アーティーチョーク、プロシュートとケッパーベリーなど7種、デザートは3種から選べる。ドリンクメニューには、プーリア、タスカニー、シチリア、ピエモンテなど、イタリア産ワインが中心のラインナップに加え、ネグローニはじめ各種カクテルも楽しめる。
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ホーム・ファニシングを扱う The Conran Shop の基盤店で、7月22日から1ヶ月限定で行われているポップアップ企画「Modern Surrealism」では、ロンドンを拠点に活動する今注目のアーティスト、シャーロット&フィリップ・コルバートがデザインした、生活用品やリミテッド・エディションの家具などが展示販売され話題となっている。お互いシュールレアリスム・スタイルで活動するアーティストながら、それぞれ全く違ったテイストを持つ二人。目のイメージをモチーフにした、ロマンティックで気まぐれな作風のシャーロットさんからは、ベッドやテーブル、花瓶や食器類など。ロブスターをモチーフにした、ポップでカラフルな作品が特徴のフィリップさんからは、アイコニックな「Lobster Chair」や「Lobster Telephone」、2017年ロンドンのサーチ・ギャラリーでの個展を皮切りに、本格的に画家としての活動を開始するきっかけとなった作品「Hunt Paintings」など、それぞれ奇抜でユーモラスなアートやオブジェ、ファニチャーで満たされたフロアーは、唯一無二な異世界感に染められている。この企画は8月27日までフラッグシップ店のみで展示販売される。
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今年で設立から200年となるナショナル・ギャラリーは、ヨーロッパの絵画を2300点以上を収蔵する、世界最大の美術館の一つで、フェルメール、レンブラント、ターナー、モネ、ルノワール、ゴッホ、ラファエロなど、なだたる絵画をコレクションしている。中でも今回注目したのは、一つの絵画を取り上げ、時代背景と共に様々な角度から作品を研究し理解を深める、エキシビジョン・シリーズ「Discover」。この第三弾となる「 Discover Degas & Miss La La」は、フランス印象派の巨匠エドガー・ドガの作品「フェルナンド座のララ嬢」に焦点を当てた展示会で、パリのサーカス団の曲芸師だったララを主題にした未発表の作品や、当時のララの写真なども共に展示され、アーティストのみならず、描かれた人物のことまで詳しく知ることができる興味深い展示スタイル。このシリーズで今後更に予定されている展示会には、10月から行われる、19世紀に活躍した英国の風景画家、ジョン・コンスタブルの作品「The Hay Wain」、12月からは長年の修復作業を終えて以来10年ぶりの一般公開となる、イタリアの画家パルミジャニーノの作品「The Vision of Saint Jerome」などがあり、あえてあまり有名でない作品を選んで展示することによって、新たな発見と感動が得られるエキシビジョンとなっている。