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Report

Milano Report

9月4日帝王ジョルジョ・アルマーニの訃報が世界中に衝撃を与えました。
世界のファッションを率いてきたジョルジョ・アルマーニ。
埋葬されたのはミラノから約30km、故人の故郷である美しい中世の村、「リヴァルタ」。ピアチェンツァ郊外の11世紀の城壁に囲まれた情緒ある村(2022年2月にレポート済)の教会でたった20人の参列者で葬儀が執り行われました。
一つの時代が終わってしまった喪失感が残るミラノより、今月は50周年を目前に他界したアルマーニ関連の話題も交えてミラノの話題をお届けします。

50年の集大成。「ジョルジョ・アルマーニ。ミラノ、愛のために」展

ミラノのブレラ絵画館で開催中のジョルジオ・アルマーニ展は、50年にわたる彼のキャリアを物語っている。
アルマーニのアーカイブから厳選された133の作品が、人生そのものを象徴する宝箱のように展示され、絵画とファッションが交差する場として、感動的な展示となっている。
ブレラ絵画館で「ジョルジオ・アルマーニ。ミラノ、愛のために」展を訪れることは、この街の最も真髄である場所、古代芸術がファッションという高尚な文化と初めて出会った場所へと旅をすることだ。
静寂の中で多くの意味に満ちた対話は、9月に惜しまれながら他界したイタリアの偉大なクリエイターの1人によって描かれた、一貫して厳格な50年にわたるスタイルの軌跡を物語り、その遺産は時代を超越したものとなっている。ジョルジョ・アルマーニの頭脳から生まれた生地、形、カットが自然に溶け込んでいる。
アルマーニの代表的なデコンストラクテッド・ジャケット、ニュートラルな色合いの生地、柔らかなライン。ブレラとの関係は偶然ではなく、1993年、彼の研究の一貫性と機能と創造性を融合させた厳格さを評価し、美術アカデミーは彼に学士号を授与した。
この由緒ある絵画・彫刻の学校において、彼は、美の概念との結びつきを深めたのだ。アルマーニの服は、独自のオーラを放ち、古代の絵画と共鳴しながら、優雅さと美について考える舞台を作り出す、日常的な「芸術作品」となっている。
最も象徴的な作品としては、リチャード・ギアが『アメリカン・ジゴロ』で着用した、控えめでありながら官能的な力強さを放つ傑作のスーツ、そしてグレース・ジョーンズの80年代のジャケットなどが挙げられる。
アルマーニは、身体を装っただけでなく、何よりも都市と時代の魂を装った。来年1月11日まで、ブレラは、その遺産にふさわしい厳粛さと優雅さで、彼に敬意を表し、儚さと速さを称えるこの世界において、この展覧会は、ゆったりとした時間のオアシスであり、アルマーニの厳格さと優美さ、奥深さを再発見するよう誘うものであり、未来への投影となるファッションの芸術である。

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Giorgio Armani. Milano, per amore
住所:Pinacoteca di Brera
開館期間:2025.9.24 – 2026.1.11 時間:8:30am – 7:15pm (月曜日休館)
要予約:チケット購入ページ

世界中が注目した2025年秋のミラコレ!

9月24日から開催された『ミラコレ』ほど話題に富んだ1週間はなかっただろう。
2026年春夏ウィメンズコレクションでまず注目の的だったのが25日に開催されたエンポリオ・アルマーニのファッションショーだ。
ジョルジョ・アルマーニの遺作となるコレクション、そして本人不在の初めてのショー。世界中が見守る中、モデルたちはフィナーレで、観客全員とともにジョルジオ・アルマーニと、彼が手掛けた最後のコレクションに拍手を送った。
そしてフィナーレでは、帝王ジョルジオに代わり、シルヴァーナ・アルマーニが登場。1955年生まれのシルヴァーナは、ジョルジオ・アルマーニが我が娘のように可愛がっていた二人の姪の長女だ。
無言で右手に込めたキスを天へ向かって投げる仕草が涙を誘った。
帝王のDNAをしっかりと受け継ぎ、新しい時代を担っていく誓いでもあったかも知れない。僭越ながら筆者は30年以上前、ボルゴヌォーヴォ通りの自宅内の会場でファッションショーをしていた時代に何度か足を運ぶ機会があった。
どのショーよりも鳥肌が立つ感動は昨日のことのように覚えている。
コレクションはもちろん、音楽や照明に空間デザイン、トータルで完成度の高いアルマーニの世界観は当時から独特で唯一無二。最後にお見かけしたのは昨年ミラノサローネが前夜祭にスカラ座へ招待した際。突如目の前に現れ慌てて撮ったピンボケ写真が宝物となった。
ファッションウィークの話題はまだある。「ザ・デヴィル・ウェアズ・プラダ2」のミラノでの撮影がいよいよ始まる。
その皮切りがなんと27日のドルチェ&ガッバーナのファッションショー!ミランダ扮するメリル・ストリープが会場に現れアナ・ウィンターと撮ったツーショットが瞬く間に話題に!今から公開が楽しみだ。
ところでファッションウィークは一般参加型でないのが残念な中、イタリアファッション協会主催がパラッツォ・ジュレコンスリティで主催するイベントは若者に人気だ。
入口にあるQRコードをスキャンすることで、業界関係者以外も参加可能。クリエイティブな才能を支援する「VOGUE TALENT」の創設者でCNMI インターナショナル・ニュータレント&ブランド・アンバサダーのサラ・ソッツァーニがキュレーションとあって人気が集まった。
彼女が担当する 2 つのプロジェクト、メード・イン・イタリーを再定義する「Future Threads: Italy’s New Wave」と、デザイン、ファッション、文化の価値観を再定義し新世代の才能を紹介する「New Gen, New Ethos」が展示された。
そしてクライマックスは28日午後7時からブレラ美術館の中庭ではアルマーニ50周年記念ファッションショーが、リチャード・ギアやケート・ブランシェット、スカラ座の貴公子、ロベルト・ボッレなど多くのアルマーニと深く関わった著名人が集まり「ミラノとパンテレリア島」という、アルマーニの心に残る場所を舞台にした、夢のような一夜となった。
作曲家エイナウディ本人による切ないピアノの調べと、何百ものランタンの光の中で。トリはジョルジョが14年お気に入りのモデル、アニェーゼ・ゾグラが。シルヴァーナ・アルマーニと、後継者となったレオ・デル・オルコが手を繋いで登場し拍手が鳴り止まなかった。

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出典IG:左2枚 vogueitallia・右3枚(左から)corriere,emporioarmani,elle_italia

2026 Spring/Summer Milano Fashion Week
イタリアファッション協会公式サイト(一般参加型イベント:ファッションハブ)

ミラノでフィオレンティーナ食べるなら美味しくて安いカンティネッタ

1953年に居酒屋として創業した「ラ・カンティネッタ」は、何度か経営者が変わり、現在ではカンツァーニ家が経営する、ミラノで名高い歴史あるトスカーナ料理店だ。
1960年代、このレストランはトスカーナ出身の家族によって経営され、彼らはロンバルディアの州都ミラノに、自国の郷土料理の最も伝統的な味と料理をもたらすことを決意。70年代初頭、この店は数々の賞を受賞したコモ出身のシェフ、エウジェニオ・カンツァーニによって買収され、現在のラ・カンティネッタが誕生した。
エウジェニオは、トスカーナの食文化の伝統を受け継ぎながら、自ら考案したクリエイティブな料理や、ロンバルディア地方の伝統的なレシピを取り入れた。
今日、エウジェニオ亡き後も妻のフェルナンダと息子のパオロが彼の遺産を受け継ぎ、経営している。
このレストランは、良質な肉を愛する人々だけでなく、ミラノの食文化の分野において、まさに「名店」としての地位を確立し、長年にわたる成功の集大成として、2019年、ラ・カンティネッタはミラノ市から名誉ある「歴史的店舗(Bottega Storica)」の称号を授与されたほどだ。
店の真ん中にある厨房には、前世紀前半の姿をそのままに保存された薪の釜が備わり、店の名物料理、フィオレンティーナ(フィレンツェ風骨付きステーキ)やタリアータなど、美味しいトスカーナの肉が香ばしく焼かれる。創業者エウジェニオが考案した独自のタリアータは、薄くスライスした肉をカルパッチョのように皿に盛り付け、文字通り「口の中でとろける」ような食感を楽しめ、同様にフィオレンティーナも有名。多くの人々からミラノで一番!と評されている。
秋にはポルチーニもおすすめ。フィオレンティーナはキロ5ユーロという破格値。写真左上(2人前)で60ユーロ。タリアータは1人前18ユーロから。自分で選んで好きなだけお皿に盛ってもらい10ユーロ!デザートも5ユーロから。オーナー夫人がレジで愛想よく挨拶してくレ、厨房からはシェフもニコリ。100人入る店は連日満席なので要予約だ。

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La Cantinetta
住所:Via Giuseppe Ripamonti 19, 20136 Milano
営業時間:12:15-1430, 19:15-22:30 (定休日:土曜日の昼・日曜日)
Tel:+39 02 58321057

30年ミラネーゼに愛される魚介の店、ヌオーヴォ・ヤット(ニュー・ヨット)

1995年にトマーゾ・サンヴィティと妻メアリーがラファエレ・サンツィオ通り(ブオナローティからすぐ近く)にオープンした居心地の良いレストラン「ヌオーヴォ・ヤット」がある。
磨りガラスから中の様子が見えず、気になりながら何年も入れないままでいた。
“新しいヨット”という意味の名前の通り、魚介の店で扉を開けてみると、そこはまるで船に乗って海原へ漕ぎ出したかのような、不思議な優しい雰囲気に包まれる。
オリジナルの船のデッキ材を使ったネイビー調のインテリア。店内を明るく照らすのは、船の船体にある梶窓を模した丸く愛らしい窓が彩光を取り入れている。
長男のマリオが、母親とともに、まるで自宅のようにくつろげるよう、優雅なおもてなしをしてくれ、厨房では、次男のマウリツィオが、その優しい手腕を発揮。
メニューはその日のお勧めを聞くのが理想で、この日のお勧め鮮魚、リッチョーラ(カンパチ)のタルタール(生魚)注文したら、最近ミラノで流行のヒマラ岩塩プレートに乗せられサーブされた。ほのかにプレートからの塩分がタルタールに絡まり、フェンネルの爽やかさとパパイヤの甘さが絶妙なアクセントになっていた。新鮮なタコの前菜はベリー類とパルメザンチーズという、これもユニークなコンビネーションで美味。イカスミのスパゲッティも裏切らない味。セコンドもこの日のお勧め鮮魚、カジキマグロのグリルでとても新鮮だった。
そのほか、ヌオーヴォ・ヤットでは、風味豊かで肉厚なマレンヌ・オレロン産の牡蠣、マザーラ・デル・ヴァッロ産の赤エビとスカンピ、ガリポリ産の紫エビ、ニューカレドニア産の青エビなども。ワインはイタリア産を中心で、この日は軽いメニューに合わせて、シチリア産の爽やかな飲み心地の白ワイン。カフェが船舶用の小ぶりな愛らしいデミタスカップでサーブされ、思わず微笑んだ。オーナーの息子が日本人と付き合っていたこともあり、とても日本人贔屓。近隣の常連客が多く、ゆっくりくつろげお勧めだ。

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Nuovo Yacht
住所:Via Raffaello Sanzio,4, 20149 Milano
Email: info@nuovoyacht.it
営業時間:12:30–14:00,19:30–22:30 (定休日:月曜日・火曜日の昼)

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