JP | ENfacebook

Report

Milano Report

夏真っ盛りのイタリア、ミラネーゼは海へ、山へと出かけ、街は観光客で溢れかえっています。北イタリアの夏の夜の醍醐味と言えばヴェローナの野外オペラです!「アレーナ」と呼ばれる古代ローマ時代の円形闘技場で開催されるオペラは、屋内では体感できないスケールと唯一無二の空気感で、誰もが1度は行ってみたいと憧れる夢の舞台。毎年6月末から9月1週目まで続きます。今回はヴェローナ特集をお届けします。

日没と共に開演、空との共演、アレーナ・ディ・ヴェローナ「オペラフェスティバル2022」!

午後21時。寸前まで真昼のように明るかった空が、開演した途端、一瞬にして美しい藍色に染まり、会場が「ブルーモーメント」に包まれる。この「空との共演」のブルーアワーでは、空が明らかに舞台の一部と化し、アレーナとの境界線が限りなく一体化する瞬間だ。イタリアが誇る作曲家、ジュゼッペ・ヴェルディの 『アイーダ』はエジプトが舞台。オケの合図で、ステージ中央にそびえ立つピラミッドに続々と現れるキャストの衣装もなんとブルー!計算し尽くされたシェノグラフィア(セノグラフィ=舞台美術)はさすが本場イタリアならでは!の演出で、開演早々、鳥肌が立つほど感動する。今年で99回目を迎えたアレーナ・ディ・ヴェローナのオペラフェスティバルの中でも 『アイーダ』 は目玉的演目。今やオペラ界のトップスター、アンナ・ネトレプコも今年の 『アイーダ』 に3回出演しているが、この日は1日限り新人のモニカ・コネーザが24歳という若さでアイーダ役に大抜擢!キューバ系アメリカ人で、アレーナの会場に響き渡る澄んだ歌声に誰もがブラーヴァ、ブラーヴァ、と拍手を送り(注:ブラーヴォは男性、ブラーヴァは女性に対する褒め言葉)、観客席にいた音楽関係者も「これから期待できそうだ」と真剣に聴き入っていた。オペラ歌手やダンサー、音楽家にとってもヴェローナのアレーナは特別な場所で、今年も7月に公演されたバレエ、「ロベルト・ボッレ&フレンズ」では、ミラノ・スカラ座のダンサーカップルがアレーナの舞台で突然、婚約指輪を差し出しプロポーズするという感動のシーンがあったほど。客席でも、女性は肌を露出したサマードレスを美しく着こなし、ステージさながらの華やかさはイタリアならでは。今年のオペラは、『アイーダ』 以外にも、『カルメン』、『ナブッコ』、『椿姫』、『トゥーランドット』、が上演されており、9月4日まで開催、通常は木〜日曜日だが、イレギュラーで水曜公演もあり要確認。開演時間は日没に合わせ、8月からは20:45となっている。

mirano

ARENA DI VERONA
Piazza Bra, 1, 37121 Verona VR

約2000年の歴史「アレーナ」と、約100年の歩み「オペラフェスティバル」の舞台装置

ジュゼッペ・ヴェルディ生誕100周年を記念して1913年、 『アイーダ』 の上演を皮切りに始まった、ヴェローナの夏の風物詩「オペラフェスティバル」。戦争で中断し、今年で第99回を迎えたが、その会場となる古代ローマ円形闘技場「アレーナ」は、約2000年近くも前に建設されたもの。ローマ帝国滅亡後、建築資材の略奪、地震や洪水による被害を経て、今なお、その風格を残し世界中に愛され続けている。アレーナを囲む石段の観客席は、以前はそのまま腰掛けていたため、入り口でクッションが貸し出しされたり、売られたりしたが、近年は背もたれ付きの椅子が設置され(天井桟敷以外)、クッションがなくても座れるようになった。とは言え、2000年の歴史を肌で感じながら座れた石段が覆われたことで風情がなくなったのは少々残念だ。日中にアレーナの周囲を歩いて回ると、過去の公演のポスターが張りめぐらされていて、その開催年を見ながら舞台装置の変遷を順に見ていくと非常に面白い。例えば、『アイーダ』 に特化して見てみると、今年、舞台で使われていた舞台装置が少なくとも20年前の2002年にも使用されていたことが分かる。公演の数時間前に、アレーナの周囲の通りを塞ぐ勢いで突如、ツタンカーメンが現れた!(笑)確かに野外劇場なので舞台装置の収容スペースはない。しかもこのシーズンに上演されるオペラ5作品分の舞台装置の保管場所となると、「外=路上や広場」しかない訳だ。公演の翌朝、既にアレーナの外へ移動式建設用クレーンで静かに素早く運び出されていたツタンカーメンやライオン、分解され番号順に整然と並べられたピラミッドなどを間近で観察すると、長い年月の間、巨大な舞台装置を大切に保管し、修復して使い続けていることが窺い知れ、改めて感動する。そのスケール感も間近で見ることにより実感できるので公演前後は必見だ。

mirano

ARENA DI VERONA
Piazza Bra, 1, 37121 Verona VR

オペラの後は一杯呑んでから宿へ

ヴェローナの「オペラフェスティバル」は、公演終了が零時を過ぎる。アレーナを出た瞬間、意外とアレーナ内が野外なのに涼しかったことに気づき少し暑さを感じて現実に引き戻されそうになるが、振り返ると闇夜にぼんやり照らし出されたアレーナの2000年の歴史が伝わってくる重厚感に圧倒される。会場に入ったのは20時過ぎ。イタリアンタイムだと夕飯を済ませず、終了後に食べに行く人もいるので、アレーナ前のレストランは深夜まで営業している。もちろん、軽く一杯飲むだけもOK。壮麗なアレーナの姿を目に焼き付けたくて多くの人が夜も更けるのを忘れてグラス片手に名残惜しく見つめながら、感動冷めやらぬオペラについて語り合う。近郊から車で来る人以外は、当然ながら宿泊することになる。そこでお勧めの宿の1つが「Relais Ristori/ レライス・リストーリ」。アレーナ・ディ・ヴェローナの広場から歩いて5分ほど。深夜に歩いていてもさほど危ないと感じない道を歩いて辿り着ける近さだ。チェックイン時に伝えられた暗証番号で解錠する。以前は一軒家だった、という豪邸を改装し、地上階と日本式の2階に6部屋ほどある小さなB&B。清潔でモダンなバスルームと、アンティーク家具で統一された寝室で居心地良い。翌朝、天気が良いと美しい中庭での朝食が最高に気持ち良くお勧め。毎日焼き立てのパンや手作りケーキやジャム、地元のハムなどが並ぶ。必要とあらばグルテンフリーやビーガンなどにも対応してくれるそうだ。若くてとても感じ良いオーナー、マリア・ヴィットーリアさんに聞けば何でも親切に教えてくれる。

mirano

RELAIS RISTORI
Vicoletto Circolo 1, 37122 Verona
Email:info@relaisristori.it

軽くランチならスターシェフの弟子の店、「ロカンダ・クワトロ・クオーキ」

ヴェローナのレストランと言えば、ミシュラン星付きの「カーザ・ペルベリーニ」だが、そのスターシェフ、ジャンカルロ・ペルベリーニの二人の弟子が、更に二人のパートナーと組んで「4人のシェフの店」という名前の「ロカンダ・クワトロ・クオーキ」を2012年にオープンし、パンデミックを経た今も尚、圧倒的な人気を誇っている。その秘訣は何と言ってもイタリア各地域の旬の食材を使い、カジュアルだが洗練された料理だ。若いシェフだが、ワインのバランスも良いと評判。この日、まず前菜は今が旬のズッキーニの花にリコッタチーズを詰め、山羊のチーズソースを敷き、上にはペルベリーニ秘伝のトマトソースを載せて出てきた。2種類のチーズが喧嘩せず、秘伝のトマトソースの甘みがアクセントとなり絶品。パスタは2品で、1品は黒トリュフのマカロニとポルチーニ茸ブイヨンが絶妙のマリアージュ。もう1品はほのかに唐辛子の辛味が効いたソースの太いスパゲッティにそら豆のピューレが添えられ香ばしいアーモンドスライスと羊のチーズがかかり、これもまた絶品だった。セコンドはラムのミートボールに夏らしくミント入りヨーグルトを掛け、一口パルミジャーナ(茄子とチーズとトマトソースの重ね焼き)添えで、ちょうどいいボリューム。イタリアンの伝統的な味を随所に残しつつ、「また食べたい」と思える新しいメニューを作り出している。各テーブルには4色の色鉛筆が用意され、ランチョンマットに自由にコメントしたり、絵を描いたりして、お客さんも「クリエーター」として参加できる粋な計らいだ。

mirano

LOCANDA 4 CUOCHI
Via Alberto Mario 12, 37121 Verona
営業日:水〜日曜日12:30 – 14:30, 19:30 – 22:30 (火曜は夜のみ営業、月曜定休)

サービス紹介はこちら管理プロパティ一覧はこちら