Milano Report
あっという間にクリスマスも近づき、イルミネーションの飾り付け準備が始まっています。気温は零下になる日もあり冬本番。気持ちだけでも温められるようなミラの便りをお届けします。
ヴェネツィアンガラスの王様、「ヴェニーニ」サン・バビラ旗艦店がオープン!
長い間地下鉄と広場の工事で覆われていたミラノの中心地、サン・バビラ広場にガラス工芸の伝統を誇るヴェニーニ(ダミアーニグループ傘下)の新旗艦店が10月末にオープンした。
メード・イン・イタリーの代表的なブランドの一つであるヴェニーニは、ヴェネツィア・ムラーノ島で1921年に創業した老舗中の老舗だ。3階建て総面積542平方メートル、7つの大きなショーウィンドーがサン・バビラ広場に面する店舗は、このエリアの外観を一新し、最近再開発された新しいサン・バビラ広場に自然に溶け込み、その威厳を高めている。
ラグジュアリーなデザインショールームが立ち並ぶドゥリーニ通りのエントランスに相応しい立派な旗艦店だ。近年、ますますラグジュアリーブランド、ファッションブランド、インテリアブランドがこのエリアに集結し、4月のミラノデザインウィークでも主役的なエリアとして確固たる地位を築いている。
2年前にリナーテ空港からサン・バビラまで地下鉄M4線が開通したことも、このエリアに大きな繁栄をもたらしている。さて気になる店内は地上階と地下階に分かれ、美術館のように美しい。1階には日本でもコレクターが多い、1967年タピオ・ヴィルカラがデザインした優雅なフォルムのボトルシリーズ「ボッレ」や、創業者の一人パオロ・ヴェニーニが1956年にデザインした「インチージ・ヴァーゾ」(「彫る」という意味の名称「INCISI」は、製品の表面をサンドブラスト処理し極めて優雅なサテン仕上げを実現、という工房で開発された革新的な技術に由来)など、最高峰の芸術作品が並ぶ。
階下へ降りる螺旋階段の中央に地上階の天井から地下階まで吊るされた7メートルの巨大なクリスタルシャンデリアは圧巻!この旗艦店のために新しく作られたそうだ。
階下にはミラノの巨匠、ジオ・ポンティによる美しいステンドガラスや、安藤忠雄の「コスモス」などなど、時が止まったような空間を演出している。
ヴェニーニはダミアーニの傘下になってしまってから、モンテナポレオーネのダミアーニ店の裏にひっそり店を構えていたので、このサン・バビラ旗艦店のオープンはファンにはたまらなく嬉しいニュース。ところでヴェニーニの創業者は実はミラネーゼだ。弁護士で起業家だったパオロ・ヴェニーニと、ヴェネツィア生まれの美術商としてミラノのモンテナポレオーネ通りでアンティークショップを経営していたジャコモ・カッペリン。ミラノから始まったブランドだからこそ、落ち着くべき場所へ落ち着いた!と納得できる。

Boutique VENINI Milano San Babila
Via Durini, 27 – entrance Piazza San Babila, Milano
Email: milano@venini.com
営業時間:10:00 - 19:00 (無休)
今春オープンした「ダヴィットリオ・カフェ・ルイ・ヴィトン」で極上のカフェタイム
この春モンテナポレオーネ通りにリニューアルオープンしたルイ・ヴィトン。3年にわたる修復工事が終わりようやくヴェールを脱いだ。
1835年に設計された後期新古典主義の宝石と呼ばれる「タヴェルナ・ラディーチェ・フォッサティ宮殿」が生まれ変わり、新店舗の目玉となっているのがミラノ郊外ベルガモのミシュラン3つ星レストラン、ダ・ヴィットーリオとのパートナーシップだ。
今やファッション業界もデザイン業界も、そして食の業界も、ファッション、アート、デザイン、美食の融合はキーワードとなっている。高級なレストラン「DaV by ダ・ヴィットリオ・ルイ・ヴィトン(DaV by Da Vittorio Louis Vuitton)」 だけでなく、カジュアルに誰もが楽しめるカフェ、「ダヴィットリオ・カフェ・ルイ・ヴィトン(DaVittorio Café Louis Vuitton)」 も併設したことで、ミラネーゼはもとより観光客に人気を博している。
重厚なエントランスを通り抜けると著名な建築家、ピーター・マリノが手がけた内装に、コンテンポラリーアート作品が溶け合う(写真右)。カフェ(写真左)は宮殿のかつての中庭に位置し、モンテナポレオーネ通りから直接アクセスできる。
ミラノ郊外ブリアンツァの別荘を彷彿とさせるデザインは、写真家セシル・ビートンのジャルダン・ディヴェール(冬の庭)に着想を得たガラス張りの屋根が特徴だ。グラデーションの石の床には、マーティン・クラインによるデザインが施されている。
修復されたアーチが奥行きと遠近感を生み出しロンバルディア州で製造された家具や、手書きのファブリック、マルコ・ベイが手がけた豊かな緑が空間を引き立てている。
ここで用意されている洗練された軽食は、例えば、アイコニックなクラブサンド「ポンヌフ」や、芝エビのスパゲッティ、3種類のトマトとモッツァレッラチーズとペストを添えたイタリア風トーストなどだ。
そしてなんといっても朝食やカフェタイムには、特製ドルチェに目が惹かれる。ルイ・ヴィトンのモノグラムが刻印されたスイーツたち、そして、なんとも愛らしいカプチーノの模様!お値段は7€(エスプレッソにミルク入り「カフェ・マッキャート」にもデザインが施され5€)で、サクッと立ち寄れる気軽さが売りだ。ちなみに帰りは奥へ通され、美術館を散策するように店舗内を回り、右側の扉から出るというシステムは秀逸。カフェ一杯が“見学料”となって、ゆっくりブティックを楽しめる。

DAVITTORIO CAFÉ LOUIS VUITTON
【カフェ予約】
Via Monte Napoleone, 2 – 20121 Milano
Email: receptionlvmilano@davittorio.com
営業時間:9:00–20:00、日曜日:9:30–19:30(無休)
ヴィック・ペッリコ・オット:最高のロケーションで優雅なひとときを!
ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世ガレリアの、アルマーニやプラダの真上に位置するレストラン「ヴィック・ペッリコ・オット」からは、息を呑むような景色を堪能しながら静かに食事を楽しめる。
名称は所在地「ペッリコ通り8番地」に由来する。窓越しに映る外の喧騒とは打って変わり、レストラン内には贅沢すぎるほど静かな時間が流れている。真っ白なヴェネツィアン・スタッコ(化粧漆喰)の壁、色とりどりの大理石のテーブル、そして多くのアート作品が出迎えてくれ、まるでアートギャラリーに足を踏み入れたよう。
スタッフは意外にも気取らず陽気。厨房を率いるのがコロンビア人だからなのか?シェフ、ネストール・ロドリゴ・エルナンデス氏は、アンデス山脈で1981年に生まれ、イタリアを故郷とする決意を持って来伊、シチリアやボローニャで経験を積んだ。
この日のメニューは、前菜に黒トリュフが載った子牛の頬肉に根セロリ(カブとセロリの合いの子のような野菜)のピューレ。プリモは生のポルチーニも載ったポルチーニリゾット、セコンドのラム肉は葡萄のジェルやロースト人参のクリーム添え。ちょっと珍しいアクセントもあるが味は本格派。全品、ふたりで1品を半分ずつオーダーしたが、とても親切に対応してくれた。
ところでこのレストランは、5つ星ホテルの中にあり、その短い歴史の中でオーナーが入れ替わっている。当初2007年に“世界初の7つ星”と謳いオープンした「旧タウンハウス・ガレリア」は最高ランク「5つ星L」を超え「ミラノがドバイを打ち負かした」と報じられるほど一世を風靡したが、スイートルームが当時で、1泊1万5千ユーロ(約270万円)という法外な値段で、2018年には財政難に陥り、結局ノルウェー出身のアレクサンダー・ヴィックに売却された。
生まれ変わったホテル「ヴィク・ミラノ・ギャラリー」はヴィック夫妻によって全面改装・再設計され、2019年に再びオープンした。
今回は5つ星。5階建ての89室は、現代アーティストたちによってそれぞれまったく異なる装飾が施されているらしい。
またヴィック氏は、類まれなテロワールを求めて世界各地を探した末、妻のキャリーとともに南米チリにワイナリー「ヴィーニャ・ヴィック」を設立し、そのワインもミラノで楽しめる。
金融、テクノロジー、ラグジュアリーなホスピタリティなどのベンチャーで知られる自営業の億万長者であり、ニューヨークとモンテカルロを拠点とする著名なアートコレクターでもある。なんと客室やレストラン内にある作品のほとんどが販売されている。

VIK PELLICO OTTO - GALLERIA VIK MILANO
Via Silvio Pellico, 8 – 20121, Milano
Email: restaurant@galleriavikmilano.com
営業時間:12:30 – 22:00 無休
ザイーニ・ファクトリー・アウトレット:ミラノ老舗チョコレートが激安に!
以前レポートしたミラノの老舗チョコレート屋「ザイーニ」。その味はミラネーゼの間で昔から定評があり愛され続けている。
創業1913年、ミラノが誇る老舗チョコレート店だ。そのアウトレットがミラノの北の外れにあるファクトリーと併設されていた。創業当時の白黒写真がパネルとなってファクトリー入り口に張り巡らされている。運搬用のロゴ入り専用車がカッコ良すぎて思わず足が止まる。
背後の煙突を背に貼られた昔のポスターもレトロ感満載で美しい。アウトレットはファクトリー手前にあり、入ると所狭しにチョコレートが。値段を見るととにかく安い!
品質の高いチョコレートを安価で入手できるとあって、北の外れとはいえ地下鉄M3「デルガノ」駅からすぐで便利なため、狭く細長い店内へ次から次へと人が入ってくる人気ぶり。
例えばケーキ用のダークチョコレート300gの塊は、カカオ50% が3.90€、70%が4.80€。ココアにできるカカオパウダーは150g 2.90€。
プラリネの袋入りは種類が多く、例えばダークチョコや塩キャラメル 125g(13個入)がたったの2€!更に中身が不明な板チョコ75g 10枚入り5.99€!これは本当にお得だ。90%や100%カカオの板チョコも混じっているようだが、基本ダークチョコレートで、オレンジ味やレモン味など、人気な商品も多く含まれている。
市内の店舗では綺麗な箱に入って1枚9€などという値段で売っている商品だ!そのほか、甘味料を加えたシュガーフリー板チョコ70g 2.50€、同じく甘味料入りシュガーフリー・チョコクリーム200g 5.90€、そしてクリスマスのこの時期、アウトレット用に製造しているという750gパネットーネがなんと10.90€という破格値!他にも1KG〜3KG単位で一口サイズチョコレートの袋売りもあり、持てるだけ買って帰りたくなるアウトレット、甘いものが恋しいこの季節にはとても危険なアウトレットだ。

ZAINI FACTORY OUTLET MILANO
Luigi Zaini S.p.A.
Via Carlo Imbonati, 59 – 20159, Milano
営業時間:9:00-18:00 (日曜定休)
Tel: +39.02.6949141
おまけ:クリスマス2025 in Milano
「ダヴィットリオ・カフェ・ルイ・ヴィトン」の隣は実は「ブルガリ」。
このアングルからのクリスマスデコレーションがあまりに素敵だったのでご紹介(写真左)。
またブルガリが誇るスターシェフ、ニコ・ロミートのミニ・パネットーネを11月最終週の3日間限定で無料配布!という大胆な企画に、サン・バビラ広場の裏の通りまで長蛇の列ができ話題になった。
カトリック教会では、伝統的な「待降節(たいこうせつ)」の期間が始まる12月7日にクリスマスツリーを点灯する習慣に長年従ってきたミラノだが、近年はクリスマス商戦を狙ってか前倒しになりつつある。
火蓋を切ったのがプラダグループ傘下の老舗菓子店「マルケージ1824」(写真中央)。ミラノの愛らしいスカイライン電飾は人気撮影スポットになっている。お馴染みドゥオモのツリーは12月6日の「点灯式」まで点灯しないはずが、試験点灯なのか、まだクレーンでの作業中に点灯していた。
リナシェンテはウィンドウが紅白に染まり、「クリスマス・ファクトリー」と題してくるみ割り人形がずらっと並んでいる。パラッツォ・コルドゥージオも美しいイルミネーションで飾られ、ドゥオモ広場には、新年2月から始まるミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックの特設ブースが出現!来月レポートします。
