Paris Report
シュヴァル ブラン パリ
セーヌ川沿いにデパートがあるのをご存知ですか?
アールデコの壁面が美しい老舗百貨店ラサマリテーヌです。しかし閉店になった時、パリの人達はとても悲しみました。
その後、LVMHが購入しましたが16年間閉まったままでした。数年前にやっとオープンし、昔の素敵な場所が残されていてホッとしました。その後、同じ建物の一部を改造して高級ホテルができました。『CHEVAL BLANC PARIS』です。
至る所にアート作品が展示されていてまるで美術館に泊まりに来たかのようです。ロビーにはイギリスのトニー・クラックのオブジェ、ブラジル出身のヴィック・ムニーズのカラフルな大作が迎えてくれます。客室は、72室のみ。すべての客室からセーヌ川が見えます。
宿泊している友人のお部屋にちょっとお邪魔しました。東側のお部屋でしたので、1600年に建設されたポンヌフ(新しい橋の意味)を見下ろせるお部屋でした。有名な映画「ポンヌフの恋人」の舞台になったあの橋をこのアングルから見た人は、今まで何人いるでしょう?
客室のインテリアはすっきりとシンプル。なんと言っても窓からの景色が素晴らしい絵画です。
朝と夕方ではまるで違う絵を飾ったかのように変わります。その景色をバスタブから眺められるようにバスルームの壁は透明でした。
地下にはヘアーサロンとディオールのエステサロンがあり、ここだけのフェイスとボディー用の商品が揃っていますが、残念なことにまだ日本未発売です。
そしてプール、この街中だからこそ『この形』になってしまったのでしょうと思える細長い30メートルの青いエリアです。フランツ・マイヤーの曾孫のミカエル・マイヤーが、ターコイズブルーとセラドングリーンのモザイクを敷き詰めたアート作品がここにもありました。
Chvai Blanc Paris
8 quai du Louvre 75001 Paris
HAKUBA
上記のホテル『CHEVAL BLANC PARIS』にはレストランが3軒あります。
その中のフレンチ『プレニチュード」はオープンしてからすぐに3星を獲得の快挙を得て、今パリで最も予約が取れないレストランになっています。そして今年は4件目のレストラン日本食の『HAKUBA』 がオープンしました。
パリの一つ星寿司店『仁」のオーナーシェフ渡邊卓也さんが、LVMHとコラボレーションする形で新しい日本食店がオープンしました。
このホテルのレストラン全体のヘッドシェフであるドンケル氏とヘッドパティシエのフェレデリック氏、それに渡邊氏と3人で手がける和食が、普通である訳がないと想像しながら行ってきました。
名前は「白馬」ホテルの名前が、chevalblanc。日本語で白い馬なので『HAKUBA』になったそうです。エントランスはツクバイと竹が、水のせせらぎを演出。
店内は、日本の森をイメージしたカウンターが3台。1箇所は個室になっています。その3箇所をシェフが行ったり来たりして、お客さまは舞台を見ているような雰囲気です。
グランドシェフは「ここでのお食事が日本の芸術と職人技に完全に没頭する場であることを望んでいます。」とコメントしています。
お食事が始まり、今までの和食と違うなと思ったのは、まず“お皿”でした。
食を引き立てる器でなく食と器で一つのアートになっていると思います。そして醤油差しが無いお鮨屋さん???
一貫、一貫、お料理ひとつひとつに味がついていました。お出汁は、日本人にははっきりしすぎのお味でした。
しかしお客さまの7割がフランス人。3割は外国人。日本人はわずかだそうですので、このぐらいはっきりしたお味の方がわかりやすいのでしょう。何皿食べたか分からなくなった頃、今度はデザートが続いて何皿も出てきます。ゆっくり時間をかけてお料理と雰囲気を味わう体験的和食と言えるでしょう。
おまかせメニュー
• ランチおまかせ「Shunkan」: € 180 | 木曜日~土曜日営業
• ディナーおまかせ「Yume」: € 420 | 火曜日~土曜日営業
HAKUBA - CHEVAL BLANC PARIS
8 quai du Louvre, 75001 Paris
+33 (0)1 79 35 51 20
hakuba.paris@chevalblanc.com
シャンゼリゼ
パラリンピックが終了しパリの街は平常モードに戻ってきましたが、一大イベントの締めくくりとしてフランスにメダルをもたらした選手たちの栄光を讃えるための祝賀パレードがありました。
会場はシャンゼリゼ、夜は凱旋門でプロジェクトマッピングを駆使したライブイベントもあるとのこと。昼間のパレードは4個のメダルを獲得した競泳のレオン・マルシャン、柔道の100キロ超級で3度目の制覇を成し遂げたテディ・リネールらが参加しました。パラリンピックのボッチャ女子で優勝したオレリ・オベールの姿も見られたようです。
夜のイベントを目指して暗くなってから出かけたのですが、メトロの1番線は4駅分も閉鎖され、なんと凱旋門の2駅分先でやっと降りれました。5駅戻り歩いて目的地に向かおうとするも、フランクリン・D・ルーズベルト駅手前でバリケードと警察官により通行ストップ。事前登録でパスを取得した者しか通過できず、凱旋門に近付くことはできませんでした。
聞くところによると昼間のパレードも登録制だったそうです。大勢の警官と空にはヘリコプター、どちらもオリンピック開催時と同じ厳重体制の警備でした。
ということで、ライブイベントには至近距離で参加出来ませんでしたが、五輪の名場面とグラフィックで構成されたプロジェクトマッピングの様子を遠くから楽しみました。しばらく鑑賞した後、凱旋門を背にしてコンコルド広場の後方に見える気球に向かって歩いていると、大音量でQueenの“We Are The Champions”が聞こえてきました。
凱旋門に映し出されていたのは、男子柔道の決勝でタックル技により金メダルを手にした選手の姿、苦汁を飲んだ日本人としては少し複雑な気持ちになりました。
今回特別に上がった気球はフランスの勝利を讃えるために、リングの部分はトリコロールカラーでした。
パラリンピック以降初めて上空に上がったので、チュイルリー公園に再び多くの人が集まりました。昼間も公園内に設置されており、この先もこの場所に残すという議論があり、もしかしたら再び特別な日に違う仕掛けで宙に上がるかもしれません。
カフェめし
フランス人にはこの夏のスポーツの祭典の思い出がまだ熱く残っているようです。
寒くなってもパリ市庁舎には、オリンピックとパラリンピックの看板が掲げられています。この冬はクリスマスの飾りもここに飾られるかもしれません。
街には黄色の落ち葉の絨毯が敷かれ始めました。ロマンチック秋の象徴で素敵ですが雨も多いので滑って危険です。サンジェルマン大通りからちょっと横丁に入っただけで街の雰囲気が変わります。ビッシー通り。雑貨屋、花屋、八百屋、パン屋など生活に即した店舗が並んでいます。その中の朝から深夜までいつも混んでいるカフェに日本から戻った友人が訪問、とてもパリっぽいテラスランチにしました。
フランスのご飯は通常、前菜、メイン、デザートの三皿ですが、今回は時間があまりなかったので二皿にしました。
友人のメインは、今日の一品『ラムステーキ季節の野菜ぞえ』、私は『ステーキタルタル』でした。揚げたての熱々フレンチフライと一緒にいただきます。デザートはクレームブリュレ、ファンダンショコラと季節のマロンアイスクリーム、とフランス料理の王道で安心して美味しく頂きました。
そういえばオリンピックの選手村で「生肉が出された!」と悪評が出ましたが、「ひょっとしたらこれ?」。脂分が少なく消化しやすいと言われるステーキタルタルは確かに生肉です。
日本でもユッケなどの生肉食は、衛生的基準法で禁止された?と聞きましたが、フランス側が選手のためと思ったことが誤解されてしまったのでは。文化の違いは怖いとカフェの片隅で日本が大好きになって帰ってきた友人と話しました。