Paris Report
季節を感じず働いているパリの人たちも、シャンゼリゼ大通りにイルミネーションが点灯すると「年末が来た」!と感じます。
今回のイルミメーションは下から上に光が登る仕掛け。以前は上から下へ光は下がり青白い光でしたので、ちょっと寂しい感じでしたが、今年は元気になる光の渦です。
先月珍しく雪が降ったので寒くてクリスマスの気分が盛り上がっています。フランスでは家族はもちろん、友人や親戚にもクリスマスプレゼントを渡します。
ちなみにマンションの管理人さんにもプレゼントか現金を包みます。
さてこれから「今年は誰に何をプレゼントするか?」の計画を立てます。

バゲット
毎年表彰されるバゲット一等賞!!バゲット・トラディション部門 優勝。
まだ食べていなかった事に気づき今年のうちにと焦って行ってきました。この数年、パリのハズレのパン屋さんが受賞していた気がしますが、2025年はパリのほぼ中心。オペラ座から徒歩15分ぐらいで劇場や映画館が多いちょっと下町感がある商店街のパン屋さんです。
今回のコンテストでは、187本のバゲットが、審査対象になったそうです。お店に入ると形がいいバゲットが並び、なんとも美味しい香りが充満していました。店内にはイートインコーナーがあるので、バゲットを2本注文して、「優勝なさったんですよね?」と聞くとレジのお姉さんが「クロワッサンも優勝したんですよ」とにっこり。
知らなかったので「では、クロワッサンもください」と頼んでしまいました。カフェも頼み、早速店内のスタンドでお味見タイム。
バゲットは「これが伝統的なバゲットなんだね」と再確認できるほど見ても美しく、小麦の香りも香ばしく、外側のカリッと中身のしっとり感。程よい塩味。誰が食べても、ニコニコ顔で頷けるバゲットです。
クロワッサンは、しっとり系で美味しいですが、薄いパリパリ系がお好きな方のお口には合わないかもしれません。ふむふむと試食していると、レジを済ませたマダムが近づいてきて、「あなたたち、ジャーナリスト?だったらここのクッキーを食べなくちゃだめよ」「本当に美味しいの。私は、糖尿病だけど、甘さが控えめだから毎日食べてる」そこまで言われたので、一枚買いました。すると今度は、レジのお姉さんが「ケーキも賞を受賞したのよ」
「皆さん一度に教えてください。全部買いますから」と思いながらまた試食。まずは、クッキーを一口。「ごめんなさい!日本人の私には無理。甘すぎ。歯が溶けそう。さっきのマダム。これを毎日食べてるからお病気になるのでは?」と意地悪に思いながら、今度はお勧めの。しかしちょっと変わった組み合わせの洋梨と紫蘇のケーキに挑戦。
クリームの下、ケーキの真ん中には、洋梨のコンポート。上品な甘さと心地よい硬さ。クリームには、ほのかに青紫蘇の香り。そしてクリームはこの頃は、珍しいバタークリーム。上質のバターを使っているのがすぐわかるフレッシュで口溶けの心地よさ。久しぶりに驚くほど美味しいケーキを発見しました。
寒い時期にぴったりの重厚で美味しいバタークリームのケーキです。日本の紫蘇が、こんな所でも活躍しているのが、嬉しいでした。

boulangerie Parisienne
12 rue du Faubourg-Poissonnière, 75010 Paris
ムーミン
今年中に行かなくては、と思っていた場所があります。
それは『フィンランド』。ムーミンで育った者にとっては今年は特別な年。
ムーミンが80歳になりました。厳密には、ムーミンの小説が出版されて80年経ったそうです。今年はムーミン美術館でのイヴェントやヘルシンキ市立美術館が、『トーベとムーミン展』を行いヘルシンキのデパートや各所で展示やコラボ商品が、売り出されました。
大規模な巡回展は日本にも行ったのではないでしょうか?なんせ、日本は、大のムーミン好き国民です。
ご本家のムーミンランドは、フィンランド以外は、日本にしかないそうです。
私はフィンランドに来たのですが、出張で時間がなくエアーポートのムーミンショップに立ち寄りました。お店の前には1メートルぐらいのニョロニョロ達がたってお出迎えしています。
10年前購入したマグカップが、今では、紫の一個になってしまったので、80年記念のグリーン系のマグカップを買いました。機内持ち込みの商品になるので、何か小さな物を探すと、スナフキンとミーのグミを見つけました。色が淡くて綺麗なので成分を見ると 流石、北欧!商品基準が厳しい。着色料は、かぼちゃ、人参、りんご、ブラックカレントからの色。香料も自然の物でした。
子供達が口にするお菓子は特に気をつけたいですね。日本からいただくお菓子は、添加物が多すぎで、びっくりショックです。
日本はムーミン村のようにシンプルに自然に沿った生活には戻れないのでしょうか?

ブランド
北欧の首都に行くと感じるのが、世界的に有名なブランドのお店が、少ないことに気が付きます。が、珍しくヘルシンキの空港でルイヴィトンのバッグを展示してあるお店がありました、ルイヴィトンの直営店でないのに?洋服屋さんのようで、色々なブランドがあるセレクトショップ?お値段が、激安!キョロキョロすると、そこは、古着屋さん。空港の中に?
なんとユニーク。お店の奥には、お茶をしている人がいます。このお店の名前は、second hand &cafe.。なんともダイレクト。マックスマーラ、サンローラン、ゴルチエ、シャネル、ディオール、アルマーニ、などなど。シャネルバッグもありました。
物価の高い北欧では、驚くほども手頃でした。時間があったら、宝探しをしたかったです。このお店に後ろ髪をひかれながら、通路に出るとカラフルな箱。近づいてみるとゴミ箱?
フィンランドのゴミ分別は、なんと5種類。ミックス、プラスチック、生ごみ、紙、厚紙、ペットボトルに分けられています。ゴミが溢れているところはなく、パリと違うなと感心して飛行機に搭乗しました。

SHEIN
この冬パリ市庁舎の向かいに在る老舗のデパートBHV(ベー・アッシュ・ヴェー)の最上階に激安で知られている中国の通販サイトSHEINがオープンして論争が繰り広げられています。
このデパートは1856年創業、特にDIY用品や文具・家庭用品などが充実しているため、パリの東急ハンズと例えられています。1991年にギャラリー・ラファイエットに買収され、2023年には投資会社SGMに営業権が移りました。
オープン当日は開店前から長蛇の列ができ買い物を待ちわびる人達がいる一方で、道路を挟んだ真向かいには小規模ではありましたが、SHEINに反対する消費者団体や環境保護団体がプラカードを掲げ声を上げてデモを起こしていました。
すでに世界中で問題提起されていますが、中国の一部地域での人権無視に値する強制労働及び劣悪な環境での過剰労働、化学繊維の大量生産による環境汚染、そして今回特に問題視されたのは幼児性愛者向けの子供を象ったラブドールがサイトで販売されているということです。
さらにフランス国内でカテゴリーAに指定されている銃などの危険物の販売も見つかり、運営側に削除を求めると共に一時的にサイトアクセスできないような処置も取られました。
そして空輸で送られてくるSHEIINの全ての荷物が検閲対象となっています。デパートの従業員や出店ブランドからも不満の声が上がり、アニエスbは数回着て傷んでしまう劣悪な化学繊維の製品は許し難く一緒にされたくないと嫌悪感をあらわにBHVへの抗議として売り場の撤退表明、他ブランドも同様に撤退が続いています。
売り場は6階でフロアの半分以上を占める1,200平米の大きめなスペースです。その殆どが婦人服で、紳士服は現在のところ全体の5%ほど。間もなく紳士服の拡大、そして子供服や大きめサイズも入荷予定とあります。
クリスマスが近付いていることもあり華やかなパーティーアイテムもちらほら見受けられますが、売り場全体に物足りなさを感じるのはアクセサリー類が無いことです。バッグや靴も見当たりません。レジ付近に陳列のためのケースが設置されていますが空で、どうやら税関で留められているようです。健康を害する有害物質が検出されているとよく耳にするので、きっと検閲が厳しいのでしょう。同様に子供服や玩具なども安全基準を満たしているかどうか厳重に検査されているようです。
フロアの残りのスペースには現在クリスマスグッズの売り場と簡易カフェが併殺されています。ディズニーランド・パリが期間限定ショップとウィンドウを飾る予定でしたが、SHEINの出店が発表された直後にキャンセルの申し出がありコラボは中止となりました。その為かフロアはスカスカ感があり殺風景に感じます。
週の間はどこのデパートもそうであるように客は少なめですが、土日は入店に列が出来るほど賑わっています。
これだけ騒ぎになっているので興味本位で見に来たという人が大半で、レジに向かっている人は少なめという印象でした。『ウルトラ・ファストファッション』と謳っている割には他のファストファッションと大差なく、このクオリティでこの価格?!と首を傾げたくなりました。
ざっと見た中で、一番高い商品はファー付きのダウンコートで96.49ユーロでした。値札にはQRコードが表示してありサイト比較できるシステムになっていますが価格は同じという声があり、消費税と輸送コストも加味するとユーロ価格が既に高め設定なのかもしれません。
店員に尋ねるも明確に言える人は皆無でした。それでもオープンから2週間で迎えたブラック・フライデーではコートやジャケットなどのアウターが40%オフという大盤振る舞いも!
世界中のインフルエンサー達が割引のクーポンコードを発行し、売れている商品が後を絶たないとも言われていますが、正直なところ化学繊維特有の質感と安っぽさは否めません。しかしながらそれを望む消費者がいるのも事実で、ファッションに貪欲というよりはそういう選択肢しかないという貧困層がいるというのもフランスの現状です。
パリ進出を果たしてから地方都市のギャラリー・ラファイエットで5店舗展開する予定でしたが、同デパートが難色を示し延期が発表されました。今挙げられている問題点が改善するのか、また1号店が良い結果を出せるかどうか様子を見てからということなのかもしれません。

Le BHV Marais
52 rue de Rivoli 75004
月〜土 10h~20h
日 11h~19h