Paris Report
『アメリカの大統領選挙の結果でEUのウクライナ支援が変わるか?』や物価の上昇などの問題が盛りだくさんのフランスですが、先日びっくりするような空になりました。パリを一望できる高層マンションにお住まいの友人から、早く空を見においでとの連絡があり、駆けつけました。『マッカッカと空の雲』と歌にありますが、絶対にそれ以上に赤いのではと思える空でした。
2、3年前にもこんな空があったそうです。「神が舞い降りる?」「世界が終わる?」とドキドキの数時間でした。化学的には雪氷藻類という光合成微生物が、雪氷上に繁殖すると雪が赤く染まったように見える『赤雲』と呼ばれる現象になるそうです。空の上の藻?不思議なパリの冬空です。
シャンゼリゼ
『世界で一番有名な通り』それはシャンゼリゼ大通でしょう。そこに年末年始の照明が灯ると気持ちはクリスマスに向けてどんどん盛り上がってきます。
以前イルミネーションの電球の熱で並木道の木々の葉が焼けるという被害が出ていました。しかし100万個の電球をLEDに変えるなど省エネルギーの工夫をして、2022年より消費電力はなんと半分になりました。2016年に比べると驚く事に97パーセント減になりました。
普段は行きませんが日本から友人が来ているので、パリ滞在中のイヴェントの一つとして18時からの点灯式に行ってきました。早めに着いたので大通りのお店の立派なクリスマスツリーを鑑賞して、18時に通りに出ましたが点灯していません。
全長2キロのシャンゼリゼ通りの一番上が凱旋門。そこからぷらぷら下に歩いて行きましたがまだ点灯なし!!途中で買い物をしカフェをしてもまだ光は灯らず、イライラしてもう帰ろうと思った瞬間!!わああああと歓声と共にパッと周りが明るくなりました。
その時すでに19時。点灯しただけでもよかった!これがフレンチスタイルです。今年はシャンゼリゼと交差する高級店通りのモンテーニュ通りから凱旋門までを車両封鎖しました。
4車線4車線と広い歩道のシャンゼリゼ大通りが、ピカピカの巨大な歩行者天国になりました。普段は渡れないワイドな車道を右へ左に歩くのは快感でした。集まった大勢の人たちは、寒くてもみんなニコニコ。楽しい12月が始まりました。
なんでもNOノーと言うフランス人は、凱旋門にデコレーションしなかったのでただデクノボーのようにボワ〜と見えただけで、あれは失敗だ!と批判しているパリジャン達もいました。
モチモチ
12月になるとクリスマスホリデーや特別なディナーをどうしようかと思います。が一方どんどん寒くなると、何年パリに住んでいてもお餅を食べたくなるのが日本人でしょうか?
日本食品店が多いオペラ地域にお餅を買いに行きました。フランス人は以前お餅が苦手でした。「グミみたいな食感なのに味がない」「歯にくっつき嫌い」と言っていましたが、いつの頃かお餅を食べるようになったフランス人です。
これも、漫画の影響かもしれません。日本のマンガに出てくるアンパン、メロンパン、カレーパン、お弁当、おにぎりを販売しているブロンジェリーAKIが、お餅専門店をオープンしています。
名前も『mochi mochi』です。ラズベリーや黒胡麻、チョコレートなどの大福餅が並んでいます。揚げパンの中にお餅が入っている日本ではなさそうな物もあります。クリスマスで人が集まる時に各種購入したら、ウケるでしょう!
mochimochi
28 Rue Sainte-Anne
75001 Paris
デパート
今年もパリの街中にイルミネーションが灯り、デパートのウィンドウの中はクリスマス仕様で電動仕掛けのディスプレイで飾られ毎年恒例の人気スポットです。
今年で130回目のクリスマスを迎えたギャラリー・ラファイエットのディスプレイは、パリ五輪の閉会式でアクロバットのアーティスト達の衣装をデザインしたケヴィン・ジェルマニエが手掛けました。
カラフルでキラキラと輝くグリッターが散りばめられ、人形や鳥の可愛らしさがありつつもモードでファンタジーな世界が繰り広げられています。店内には同デザイナーによる大きなツリーが吊るされていて圧巻です。
お隣のプランタンは『列車の旅』がテーマ。乗車券売り場と改札口から始まり、食堂車や寝台車などウィンドウ毎にストーリーが展開されています。人形は皆ウィットに富んでいて、一つ一つの動きに目が釘付けになります。
子供達も大喜びでウィンドウの前から離れようとしません。楽しんでいるのは子供だけではなく、大人も足を止めて見入ってしまいます。ちょっと童心に返るひと時でした。
左岸にあるデパートのオーボンマルシェは、右岸と違いかなりシックな色のデコレーションです。
ところで、クレジット会社のアンケートによると本年度フランス人がクリスマスにかける予算は497ユーロで(昨年比:約50ユーロ減)一番の支出はプレゼントの323ユーロ(昨年比:9ユーロ減)だとか。物価高が続く中、お財布の紐を締めつつもそれなりの予算を充てている様です。さて、サンタクロースへの願い事は叶うのでしょうか。
バゲット
フランス人にとってバゲットは、日本人の“お米”と同じです。
パリで一番美味しいバゲットを毎年決めるコンテストが『La meilleure baguette de Paris』です 。
うっかりしていて今年の一等賞を食べていませんでした。今年、去年と右岸のパン屋さんだったので、右岸に行った際2店のバゲットを買ってきました。2023年対2024年バゲット対決を個人的にしてみました。
その前にたかだかバゲットと言っても、フランス人にとっては毎日の大切な食品ですから、その審査は厳しいものがあります。
本体の大きさは50cm 〜55cm.、重さは、250g〜270g、小麦粉1kgに18gまでの塩、この規定をクリアーした128本のバゲットが審査されます。優勝店には、メダルと賞金が出ます。優勝賞金は4,000ユーロです。この頃円が弱いので68万円ぐらいになるでしょう。そして、1 年間大統領邸エリセ宮にパンを納品する権利を与えられます。どのお店も「光栄だ」と喜んで毎朝配達をするお店もあれば、当店の規模では無理と賞金は頂戴しても納品は、断りするお店もあるようです。
今年のチャンピオンは11区。去年は20区のパン屋さんでした。購入後、さっそく自宅に戻り試食。2024年の受賞は11 区のXavier Netryザビエル・ネトりーさんのお店『ブランゲリー・ユトピー』ベージュの紙袋。
2023年は20区の『オー・ル・ヴァン・デ・ピレネー』、トリコロールカラーの紙袋です。バターも何もつけずに食べ比べました。
両方とも小麦粉を吟味しているからか“いい香り”です。
断面を見ると気泡の大きさや数が違い、それが食感に影響しています。
20区の方がややしっとり柔らかめ、11区のバゲットは外皮中身ともパリパリ系でした。どちらも美味しく私のお好みです。
バゲットでもこんなに違うのかと嬉しい驚きです。あちこちのパン屋さんのバゲットを食べて、自分の好みを探すのも楽しいパリです。
Boulangerie Utopie
20 rue Jean-Pierre Timbaud, 75011 Paris
Au Levain des Pyrénées
44 rue es pyrenees 7520 Paris